願うと同時にやると効果が上がる1つのステップ
多少話題になった「ザ・シークレット 」という本の中に「引き寄せの法則」なるものがあります。
なんでも「考えるだけで願いが叶う」というドラえもんのような話です。信じる者は救われるという解釈をされている方もいらっしゃいます。
他にもポジティブに物事を捉えるというポジティブシンキングというものがあります。幸せですね。
さて、考えるだけで、ポジティブにとらえるだけで願いが叶うなら、今すぐ福島第一原発の放射能問題を解決してくれるはずなので私は信じていませんが、この考え方は結構人気があるそうです。
これは何が問題なのかというと、過程がわからないわけです。過程がわからなければ検証できないので、ただの偶然なのか区別できません。
例えば結婚したいと思った人が、良さそうな異性と知り合い、結婚するとします。これを「これは引き寄せの法則だ。やはり願えば叶う」というのは結果のみであり、ただの感想です。サンプル1です。少なくとも法則ではないと考えます。
しかし、願いを叶えたい、目標を達成したいという気持ちは理解できます。痛いほど。
では、どうすれば願いを叶える確率を少しでも高めることができるのでしょうか。
というわけでもないのですが、文献や論文を探していたところ「メンタルコントラスティング(Mental Contrasting)」という言葉を見つけました。
正確に言うと見つけた言葉はMCII(Mental Contrastingインプリメーションインテンション)なのですが、これはMCとII(実装意図:Implementation Intention)の複合で、IIに関しては以前のブログでも書いたので、MCの方を取り上げます。
今回はニューヨーク大学の心理学者、Gabriele Oettingenaの論文「Self-regulation strategies improve self-discipline in adolescents:benefits of mental contrasting and implementation intentions」と著書の「Rethinking Positive Thinking: Inside the New Science of Motivation」を読みました。
実験では、思春期の若い人を集め、メンタルコントラスティングを行ったグループと行わなかったグループで勉強量を比較したところ、行ったグループが60%も多く勉強したそうです。
MCとは「目標」をイメージするだけではなく、そこに至るまでの現実的な「障害」を考えることで心の中に精神的対比を生み出すというものです。頭の中で目標達成をイメージするのは楽しいことですよね。それこそがゴールであり、欲する対象なのですから。しかし、そこでゴールイメージで終わると、脳は達成したという報酬が与えられてしまい、満足して終わり、行動に移りません。
だから、現実的に考えられる「障害」をセットで考えることにより、現実との差を認識します。そして障害を排除すればゴールという報酬に近づくため、行動に差が出るのだろうといいます。邪魔者を消すということですね。
私はこの「障害」を考える部分が気に入っています。
この障害の部分は「面倒くさい」とか「時間が割けないかも」とか「疲れてできないかも」といったものです。ウォーキングしていたら交通事故に合うとか、勉強していたら停電して字が読めなくなるといったものではありません。
障害を考えるということは現実的になるということです。もちろん全ての状況で当てはまるとは言えませんが、少なくとも「願いを考えるだけで願いが叶う」より、「願いを考えて障害を認識すれば願いが叶いやすくなる」の方が良いわけです。
ミュージシャンのB’z も「ねがい」の歌中で「願いよ叶えいつの日か。そうなるように生きていけ」と仰っていますね。この論文を読んだ後だと「そうなるように生きていけ」に具体性が加わって味わい深い歌になりました。
そういえば、ドラえもんですら、空を自由に飛びたかったらタケコプターが必要ということなので、考えるだけではやっぱり駄目ですね。